原油30ドルへの逆戻りシナリオ


米国株市場ではダウが最高値を更新しているが、一部セクターに対する安定性や持続性に疑問を呈する向きもある。金利上昇や規制緩和へのやや過剰な期待を背負う金融株や、原油市場の安定を意識したエネルギー株などがその代表格であるが、特に後者に関しては、先月末以来顕著となっている原油価格の低迷が暗い影を落とし始めている。それは、世界経済に再び「ディスインフレ」の現実感を呼び覚ます可能性を胚胎しているようにも見える。(本文に続く) (編集人 倉都康行
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米国税制改革の現実性


 Trump大統領の信用失墜や存在感低下と歩調を併せるように、市場のリフレ策期待は萎んでいる。規制緩和観測や金利上昇期待による金融株上昇など局所的にはその残り香も漂っているが、市場の中心テーマはハイテク企業の収益力や景気拡大の長期化に移っており、海外リスクの後退という順風も吹いてきた。米政界では年内の税制改革への意気込みを語る向きが増えているが、その実現性に関しては、市場は冷ややかな視線を送り続けている。(以下、本文に続く)編集人 倉都康行
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金利正常化と米国経済


 FRBは先般、0.25%の利上げと今後の利上げシナリオ、そしてBalance Sheet縮小の工程表という三つの政策判断を示した。市場には特にサプライズもなく、株式市場ではハイテク株や金融株が回復、長期金利にも動意が乏しくドルも小動きに終始している。それは、米国経済は底堅くまだ景気後退にはほど遠いという景気への楽観論だけでなく、金融政策はFRBの想定通りには行かないのではないかという政策不透明感をも反映したものであろう。(以下、本文に続く) 編集人 倉都康行
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有価証券は割高なのか


米国では今年2回目の利上げが行われ、FRBは保有する国債やMBSの残高を縮小させる方針を示している。先週の英中銀の会合では3名の委員が利上げを主張するという予想外の展開となった。ECBの量的緩和も終了時期が近付いているとの見方が大勢であり、日銀に対しては出口戦略を示すべきとの圧力が加わり始めている。だが市場では株価や債券の高水準は一向に修正されず、弱気な機関投資家は割高感に苛まれ続けている。(本文に続く) 編集人 倉都康行
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「FRB失敗トレード」の台頭


 今週のFOMCほど、金融当局と債券市場の認識ギャップが鮮明になった会合はないかもしれない。インフレ率はいずれ2%に近付くとの基本方針を変えないFRBは利上げとBalance Sheet縮小の「二本立て工程表」を示し、株式市場ではダウが最高値を更新するなどその透明性を好感しているが、債券市場はその姿勢に異議を申し立てている。為替市場でもドルは軟調に推移しており、金利先高観の後退を読み取っているように見える。(本文に続く) 編集人 倉都康行
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2016年最後のご挨拶


  ブレクジットとトランプ氏勝利という大激震に見舞われた2016年も終幕を迎えた。市場でもマイナス金利からポンド急落そして米株最高値更新などの奔流に右往左往する展開が続いたが、それよりも欧米の人々が内向きな選択をし始めたことの方が記憶と印象に残る年であった。1989年にベルリンの壁が崩壊して以来、自由主義や市場経済の価値観が世界に定着したと思い込んでいたが、この数年間に多くの人は心の中に壁を築き始めていたのだ。  それが今年、自由主義の旗頭であった英米で表面化することになった意味は小さくない。そして来年は、その心の壁が生みだす具体的な現象が表徴化することになるのだろう。どこかの中銀総裁のように「世界が保護主義に向かうとは思えない」などと呑気な経済観を抱く気にはなれない。確かにトランプ氏が選挙中に放言していた無責任な策をそのまま採用するとは思わないが、米国の政治が変質することは100%間違いないし、欧州が泥沼のような政治的混迷から抜け出せるすれば、それは奇跡と呼んでよいだろう。  市場が政治に関する不透明性を嫌うことは周知の通りだ。筆者は政治リスクに関して言及できるほどの知識はないが、政治家の言動に関してはより深い洞察力を持つ必要があると考えている。モーゲンソーは「政策の本性はイデオロギー的偽装のヴェールに隠されている」と喝破した。それは帝国主義における背景分析であるが、覇権主義や自国優先主義などが闊歩する時代においても、予測の難しい政治リスクが市場の平穏を乱すことは日常茶飯事になるだろう。今年起きた英米での「二大事件」は、来年への単なる材料提供に過ぎないようにも思われる。 編集人 倉都康行

2015年最後のご挨拶


 年の瀬に、今年も平和裏に過ごせたことを感謝しながら、国家が少しずつ妙な方向へと姿を変えていくことに抵抗できない個人の無力も感じている。学生時代は敷かれたレールに反抗し、社会人になっても会社に文句を言い続けて結局は独立の道を選んでしまったが、幾ら好きになれなくても国家という存在から背を向けることは難しい。その重みに、個人だけでなく国債をはじめとする資本市場も潰されようとしている。  国家とは税金というオプション料を払えば権利を守ってくれるものだと思っ ていたが、現在の国家はオプション料を徴収しながら憲法を無視して権利さえ 奪い取りかねない強圧的な政府に乗っ取られてしまった。だがそんな国家像で も良いと思っている人が少なくない中での軌道修正は難しい。来年以降も抑圧 された憂鬱が続くことを覚悟せねばならないのだろうか。そして、踏みにじら れた資本市場とともに、出口のない金融政策や低成長経済を憂う日々が続くの だろうか。  いや、そんなに落ち込む必要はないかもしれない。アベノミクスは馬脚を現 し、一般の人々も安倍政権の経済政策の怪しさに気付き始めている。円安が救 世主にはなれなかったことも判明した。一人当たりGDPで日本が順位を大きく下 げたのも、行き過ぎた円安の所為だということは自明だろう。円の水準にもう 少しプライドを持ちたいものである。株価が多少もたついても、民間企業が独 自の成長戦略で稼ぐ力を取り戻せば良いのである。経済の基本は個人と企業で あり政府ではない。来年は、アベノミクスと日銀追加緩和という二つの単語を 捨てることで、過去3年間の清算を図りたいものである。 編集人 倉都康行

2014年最後のご挨拶


 2014年もあっという間に過ぎ去ろうとしている。日本はアベノミクス失敗を暗示する景気後退入りとなったが、安倍政権の巧みな選挙戦術で経済問題は封じ込められ、逆に「アベノミクス信認」という強引なキャッチフレーズで国民を幻惑させてしまった。その後永田町から出てきたのは自民党の得意とするばら撒き作戦と大企業優遇策であり、財政再建や規制緩和、安定成長への見取り図など長期的な針路は全く示されないままの越年である。情けない国になり下 がった印象は否めない。  公的債務増と人口減という破滅的な構造や、既得利益の温存と格差拡大という衰退的長期トレンドを無視した政権運営に「NO」を突き付ける機会は当分到来しそうにない。安倍政権は長期戦略を描く時間を手に入れたにもかかわらずその根源的は保守思想からすれば、大胆な構造改革に斬り込むことはまず期待出来そうにない。来年は増収を背に受けて統一選に向けたばら撒きを再開し、 市場懸念を訴えた財務省への嫌悪感を顕にしつつ、日銀には更なる円安・株高実現の為の政策を強要する姿勢を堅持することになるだろう。  その日銀が作り上げたマイナス金利世界は、来年10年債など長期債市場にも波及しそうな気配である。そんな異変の定着は、秘密保護法や集団的自衛権そして原発再稼働などに対する疑念をも希薄化させる、いわば「誰もが異変を異常と思わなくなる時代」の到来を告げるものだ。安倍政権は、それを感知させない「麻薬」を最大限に利用している。円安や株高は、日本人を思考停止に追いやる為の優れたクスリなのだ。その事実を忘れずに、市場は市場と割り切りながらもそこに隠された政治的意図を看過することのないよう、来年も頭だけは冷静さを保ち続けていたいものである。 編集人 倉都康行

2013年最後のご挨拶


 アベノミクスに舞い、テーパリングに揺らいだ1年も、景気回復への期待感とともに幕を閉じようとしている。今年は円安・株高に乗った人々が勝ち組と なり、アベノミクス批判者は負け組となった。日銀の政策への違和感を抱き続 ける筆者も後者の一人である。だが市場が常に真実を照らす鏡であるとは言え ない。日本だけではないが、過去5年間に蓄積された金融政策の評価を2013年 だけで下すには、あまりに性急過ぎる。その軽薄なムードは米国でも顕著にな りつつある。新興国を別とすれば、2014年が明るい年になるとの期待が高まっているのは 事実だ。その筆頭を行く米国では様々な数字で改善が見える。先週公表された 同国商業用原油備蓄の減少も、シェール革命による増産を上回る需要が生まれ ていることを示すものだ。ガソリン消費も増えている。年末年始の米株式市場 が更に勢いを増すことも考えられよう。「市場先走り」のムードが高まれば新 年の日本への順風も強まりそうだが、そこに落とし穴が無いとは言えない。金融政策に市場経済の期待値を引き上げる効果があるのは、現代では誰もが知っている。資本市場はその通りに動いている。そして金融政策が過剰期待を生むことも現代常識の一つだが、それを見極める力を備えていないのが人間社会の特徴である。現在のリスク資産指向の転換点が2014年に到来するのか、或 いは2015年以降になるのか解らないが、予測不能だといって点検を怠る訳には いかないのが、市場ビジネスに携わる人間の宿命でもある。経済は常に人々の 想像を超えた動きを生んできた。リスク要因が減少しているからといって、そ れに並行して観察力や判断力まで低下させてはなるまい。 編集人 倉都康行